メンズエステ業界は、2024年から2025年にかけて大きな変化の波を迎えています。特に2025年に施行される風営法の改正は、業界全体に影響を与える重要なポイントとなっています。さらに、エステ業界全体の経営環境は厳しさを増し、多くの店舗が生き残りを懸けた戦略を模索している状況です。本記事では、最新の摘発事例や業界動向を詳しく解説し、メンズエステを楽しみたい方に向けた有益な情報をお届けします。
1. 2025年風営法改正の概要
背景と目的
2025年の風俗営業法(風営法)改正は、近年増加している悪質なホストクラブやスカウト行為による社会問題に対応するために計画されたものです。特に、女性客が高額な料金を請求されて借金を背負わされるケースが相次いでいる問題を重視し、対策が講じられることになりました。2024年の調査によると、全国の警察に寄せられたホストクラブに関する相談は2776件に上っていますNHK1。
主な改正内容
2025年3月7日に閣議決定された風営法改正案の主な内容は以下の通りです:
- 接待飲食営業に係る順守事項・禁止行為の追加
- 料金に関する虚偽説明の禁止
- 恋愛感情を利用した「色恋営業」の一部禁止
- 客が注文していない飲食物の提供禁止
- 威迫・困惑を与えての料金支払い要求の禁止(違反時:6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
- ホストクラブの違法営業の取り締まり:無許可営業や脱税、女性搾取など、ホストクラブの違法営業に対する規制が厳格化されます。
- 性風俗店によるスカウトバックの禁止
- 女性の紹介を受ける見返りにホストやスカウトへの報酬支払いを禁止
- 第三者を通じた迂回行為も含めて全面禁止
- 違反時:6か月以下の拘禁または100万円以下の罰金
- 無許可営業等に対する罰則の大幅強化
- 個人:2年以下→5年以下の懲役、200万円→1,000万円以下の罰金
- 法人:200万円→3億円以下の罰金(150倍に増額)
- 風俗営業の欠格事由の範囲拡大
- 営業許可取消を受けた場合、系列店など密接に関係する店も営業が認められなくなる
- 行政処分逃れ防止のための基準厳格化
法施行のスケジュール
政府は現在の国会でこの改正案の成立を目指す方針を示しており、2025年中に公布・施行される予定です。つなぐ行政書士事務所2によると、改正法は公布後1か月以内に施行される見込みとされています。
2. メンズエステ業界の現状と法的位置づけ
業界規模と動向
矢野経済研究所の調査によると、2023年度のメンズエステ市場は162億円(前年度比102.5%)と成長を続けています矢野経済研究所3。エステサロン市場全体が厳しい状況にある中で、メンズエステ市場は明るい材料と評価されており、男性の美容意識の高まりやストレス解消ニーズを背景に、今後も成長が期待される分野です。
風営法におけるメンズエステの位置づけ
メンズエステ業界の法的位置づけは、提供するサービス内容によって大きく異なります:
- 健全な適法のメンズエステ
- 風営法の対象外であり、届出や認可なしで営業可能
- マッサージやリラクゼーションを中心としたサービスを提供
- 性的サービスを提供するメンズエステ
- 風営法における「店舗型性風俗特殊営業」(2号営業)に該当
- 公安委員会への届出義務があり、営業地域の制限を受ける
佐藤りょうへい行政書士事務所によると、「メンズエステは適法に営業している限り、風営法違反で摘発されることはありません。摘発のおそれのあるメンズエステとは、性風俗特殊営業における2号営業(店舗型ファッションヘルス等)に該当するサービスを提供しているお店です」佐藤りょうへい行政書士事務所4と説明されています。
健全店と違法店の境界
風営法第2条6項では、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」を店舗型性風俗特殊営業と定義しています。この「性的好奇心に応じて」という部分の解釈が、健全店と違法店を分ける重要なポイントとなります。
具体的には以下の行為が違法と見なされる可能性が高いとされています:
- 性的サービスの提供:手淫(手コキ)や本番行為など、明確な性的サービスを提供している場合。
- 露出度の高い衣装の着用:セラピストが露出度の高い衣装を着用し、性的サービスを匂わせる場合。
- 鼠蹊部(デリケートゾーン)マッサージ
- 性的なサービスを想起させる広告:ウェブサイトやSNSで性的なサービスを連想させる内容を掲載している場合。
3. 風営法改正がメンズエステ業界に与える影響
罰則強化による摘発リスクの高まり
2025年の風営法改正により、無許可営業や禁止区域での営業に対する罰則が大幅に強化されます。これまで風営法違反(禁止区域営業)で摘発された場合の罰則は2年以下の懲役、200万円以下の罰金でしたが、改正後は5年以下の懲役、1,000万円以下の罰金へと厳罰化されます。法人の場合は最大3億円の罰金と、現行の200万円から大幅に引き上げられます6。
グラディアトル法律事務所は、「2025年3月、風営法改正案が閣議決定された。この中で、メンズエステの逮捕・摘発に使われる風営法の禁止区域営業等の罰則が強化されている」と指摘しています。これにより、性的サービスを提供する無届けのメンズエステ店の摘発リスクが一層高まると考えられます。
規制対象となる営業形態
改正法では特に以下の営業形態が規制対象となります:
- 箱型(店舗型)メンズエステ
- マンションなどの一室で営業する箱型メンズエステが主な対象
- 届出なしに禁止区域で性的サービスを提供している場合、厳罰化の対象
- スカウトを利用した集客
- スカウトバック禁止により、紹介料支払いでの顧客獲得が違法に
一方で、グラディアトル法律事務所によると「デリヘルの届出を出している派遣型のメンズエステは対象外」6とされており、営業形態による影響の差が生じることになります。
業界への直接的・間接的影響
法改正がメンズエステ業界に与える直接的・間接的影響として、以下が予想されます:
- 違法店舗の摘発増加
- 罰則強化により警察の取締りが強化される可能性
- 2024年も複数のメンズエステ摘発事例が報告されており、今後さらに増加する恐れ
- 業界の二極化
- 適法に届出を行う健全店とグレーゾーン営業を続ける店舗の差別化
- 罰則強化により違法営業のリスクが高まることで、健全店への移行が進む可能性
- 営業コストの増加
- 適法営業のための届出手続きや物件選定、契約書類整備などのコスト増
- 法的リスク回避のための運営体制見直し
4. 適法営業のための留意点と対策
風営法違反と見なされないための具体策
メンズエステが風営法違反と見なされないために、以下の対策が重要です:
- サービス内容の見直し
- 性的サービスの完全排除
- 鼠蹊部などデリケートゾーンの施術を避ける
- 露出の高い衣装での接客を控える
- 施設・運営体制の整備
- 露出の高い衣装でのアピールを控える
- 怪しいオプション設定をしない
- 許可物件での経営
- 業務委託契約書と同意書の整備
- セラピストへの教育徹底メタニキのメンズエステ開業・経営方法マニュアル5
法改正後の適切な業務運営
法改正後の業務運営では、以下の点に注意が必要です:
- 届出の見直し
- 現在の営業形態が風営法に抵触する可能性がある場合、適切な届出を検討
- 店舗型の場合、立地制限に注意した物件選定
- マニュアル・研修の徹底
- スタッフに対する法改正内容の周知
- 禁止行為の明確化とトレーニング
- 定期的な確認と監査
- 広告表現の適正化
- ホームページやSNSでの表現に注意
- 性的サービスを想起させる表現の排除
届出や書類整備の重要性
適法経営のためには、以下の書類整備が重要です:
- 業務委託契約書
- セラピストとの関係を明確化
- 禁止行為の明記
- 同意書
- 顧客に対するサービス内容の明示
- 不適切な要求への拒否権の明示
- マニュアル
- 接客手順の標準化
- 禁止行為の明確化
これらの書類は、万が一の捜査時に適法営業の証拠となります。
5. 業界の将来展望
規制強化後のメンズエステ業界の方向性
風営法改正による規制強化を受け、メンズエステ業界は以下の方向へ変化していくと予想されます:
- 健全店の増加
- 罰則強化により違法営業のリスクが高まることで、適法営業への移行が進む
- 届出済みの健全店の価値が高まる
- サービス品質の向上
- 性的サービスに頼らない差別化が進む
- 技術・接客・施設の質が競争力の源泉に
- 業界団体の役割増大
- 自主規制やガイドライン策定の必要性
- 業界全体のイメージ改善への取り組み
健全化の流れと市場の変化予測
矢野経済研究所の調査では、メンズエステ市場は成長を続けており、この傾向は今後も続くと予想されています。法改正を機に業界の健全化が進むことで、以下のような市場変化が予測されます:
- 顧客層の拡大
- より幅広い年齢・属性の男性客の取り込み
- 健全なリラクゼーションサービスとしての認知向上
- 業界の集約化
- 小規模な違法店舗の退出
- 法令順守を徹底する中堅・大手チェーンの拡大
- 新たなビジネスモデルの台頭
- 健全な派遣型サービスの増加
- デジタル技術を活用した新たなサービス展開
一方で、グレーゾーン店舗は地下化や手法の変更などで存続を図る可能性もあり、完全な健全化には時間がかかると予想されます。
結論
2025年の風営法改正は、主に悪質ホスト営業への対策が目的ですが、メンズエステ業界、特に性的サービスを提供する無届の店舗に対しても大きな影響を与えることになります。罰則の大幅強化により、摘発リスクが高まり、業界の健全化が進むことが予想されます。
健全なメンズエステ店は引き続き風営法の対象外となりますが、グレーゾーンで営業している店舗は、営業形態の見直しや適切な届出の検討が急務となるでしょう。法改正を契機に、メンズエステ業界全体が技術や接客サービスの質を高め、よりクリーンで持続可能な産業へと発展していくことが期待されます。
メンズエステ事業者は、この法改正を単なる規制強化と捉えるのではなく、業界の健全化と信頼性向上のチャンスと捉え、適切な対応を取ることが重要です。
参考文献
最新の摘発事例とその影響
2024-2025年の主な摘発事例
風営法改正を前に、すでに全国で違法営業に対する摘発が進んでいます。
日付 | 地域 | 摘発内容 |
---|---|---|
2024年11月 | 東京都 | 風営法違反による無許可営業で摘発 |
2024年12月 | 福岡県 | 禁制地域での性的サービス提供による摘発 |
2025年1月 | 新潟市 | 経営者が女性従業員に違法な業務を強要し逮捕 |
これらの事例から、業界内での法令遵守が急務であることが分かります。特に、セラピストと店舗経営者の双方がリスクを理解し、適法な営業を徹底することが求められています。
メンズエステ業界の市場動向
2024年の市場規模と成長予測
- 男性美容市場は拡大中:2024年の市場規模は635億円に達すると予測。
- メンズ脱毛の需要が増加:特にヒゲ脱毛やVライン脱毛の人気が高まっている。
- エステ業界全体は縮小傾向:倒産件数は過去最多の99件に。
▶ メンズエステ市場は成長を続けているものの、淘汰が進む厳しい競争環境にある。
業界が直面する課題と今後の展望
1. 競争の激化と倒産リスク
- 低価格化による収益圧迫:安価なメニューが増えたことで、利益率が低下。
- 広告費の高騰:新規顧客獲得のための広告費が負担となり、経営を圧迫。
- 前払い金トラブルの増加:返金対応が難しくなるケースが相次ぐ。
2. 持続可能なビジネスモデルの必要性
- 法令遵守の徹底:無許可営業は淘汰され、適法な店舗が信頼を獲得。
- 差別化の戦略が鍵:独自の施術やサービスを強化し、競争力を高める。
- オンラインサービスの導入:予約管理や会員制の活用でリピーターを確保。
▶ これからのメンズエステ業界は、透明性の確保と持続可能な経営がカギとなる。
まとめ
2024年から2025年にかけて、メンズエステ業界は大きな転換期を迎えています。特に、風営法の改正による適法営業の重要性が高まり、業界全体のクリーンアップが進んでいます。一方で、市場自体は拡大しており、成長のチャンスは十分にあることも事実です。
メンズエステ業界の未来は?
✅ 透明性のある営業が信頼性を向上 ✅ 男性美容市場の成長が続く ✅ 適法な運営を徹底すればビジネスチャンスも拡大
今後も、読者の皆様に最新のメンズエステ情報をお届けし、安心して楽しめる環境をサポートしていきます。
摘発事例
2024年から2025年初頭にかけて、メンズエステ店の摘発事例が複数報告されています:
- 2024年12月26日:岩手県盛岡市の「Relovele盛岡」が摘発され、約20人の女性従業員が在籍し、約1千万円の売り上げがあったことが判明1。
- 2024年11月21日:北海道札幌市で匿名通報をきっかけにメンズエステ店が摘発1。
- 2024年11月12日:栃木県で10数名規模のメンズエステ店が1年5ヶ月の営業後に摘発1。
- 2024年10月31日:長崎県長崎市の「美女専門店プレーヌ」が県内初のメンズエステ摘発事例として報告1。
- 2024年10月16日:静岡県の「ガーデン」(7部屋規模)が摘発1。
- 2024年7月2日:北海道札幌市で3店舗(3ルーム)のメンズエステが摘発1。
これらの摘発事例は、メンズエステ業界における法的リスクの高まりを示しています。
市場動向
メンズエステ市場は好調な成長を続けています:
特に人気の施術として、ヒゲ脱毛やスキンケアが挙げられます2。
業界の課題
メンズエステ業界も含めたエステ業界全体で以下の課題が顕在化しています:
- 人手不足: 長時間労働や休日出勤の多さから、人材の確保と定着が困難2。
- 集客の困難: 競争激化により、特に個人経営のサロンでWeb集客に苦戦2。
- 価格競争: サービスの差別化が難しく、価格競争が激化している2。
今後の展望
エステ業界全体として、以下の対策が重要視されています:
これらの動向は、メンズエステ業界が2024年から2025年にかけて成長と課題に直面していることを示しています。法的リスクへの対応と市場ニーズへの適応が今後の鍵となるでしょう。
Citations:
- https://me-kaigyobu.rest/column/detection_info
- https://www.miss-paris.ac.jp/article/the-future-of-the-beauty-salon-industry/
- https://mens-mg.com/newshop.php?p=1
- https://www.fnn.jp/articles/-/829624
- https://renaissance-gt.jp/column/epi/market_size/
- https://www.himo-toku.com/business/4851/
- https://www.tokyo-np.co.jp/article/380435
- https://job.eslove.jp/kanto/tokyo/search?option_key%5B%5D=7
- https://www.niikei.jp/1429279/
- https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3444
- https://estama.jp/kanto/shoplist/1300/
- https://www.yomiuri.co.jp/national/20250129-OYT1T50255/
- https://salon-de-job.com/oshietai/8316/
- https://eslove.jp/kanto/tokyo/shoplist
- https://www.47news.jp/12168583.html
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002586.000011414.html
- https://mens.bz/area/hitori_kanto/
- https://www.yomiuri.co.jp/national/20241212-OYT1T50068/
- https://india-15.japan-entertainment.mhx.jp/2024/11/20/trend2025/
- https://mens-mg.com/newshop.php?p=1&pref=13
著者情報
執筆者:大人プレス編集部
首都圏エリアのリラクゼーションエンターテインメント情報を中心に発信する編集部。最新のエステ、マッサージ、リラクゼーションに関するトレンド情報をお届けします。